【IKIGAI探求vol.7】不確実な時代を勝ち抜く!成果主義の限界を超え、社員の主体性を最大化する三層構造マネジメント「IKIGAI経営」
ー 経営層・人事担当者のための、持続的成長の戦略フレームー
1. 問い:「正しい判断」が、なぜ組織を疲弊させるのか?
経営者や人事の皆様は、今、次のようなジレンマに直面していませんか?
- 「正しさ」の麻痺:データやロジックに基づいた正しい戦略を示しても、現場の熱意や主体性が立ち上がらない。
- エンゲージメントの危機:米国ギャラップ社の調査が示す通り、日本で仕事に「熱意を持って働いている」のはわずか約5%。残りの95%をどう動かすか、従来の制度や施策では限界がある。([ナレッジ①参照])
- スキル価値の流動化:AIの急速な進化により、これまでの経験やスキルの価値そのものが流動化。社員に「学び直し」や「役割を変える決断」を促すための、内発的なエネルギー源が見つからない。([ナレッジ①参照])
これまでの経営学は、「経営者は答えを出す人」であり、「正しい戦略」で組織を導くべきだと教えてきました。しかし、VUCA(予測不能)な現代において、その「正しさ」こそが組織を疲弊させる要因になっています。
未来を保証する言葉も、確実な正解も示せない「暗闇」の中で、従来の「上から答えを配る経営」は機能不全に陥っています。([ナレッジ⑦参照])
2. IKIGAI経営の核心:「最終責任」を引き受け、「正しさ」を配らない覚悟
IKIGAI経営は、この危機に対して明確な立場を取ります。
「論理的な正解を配ることはできない。しかし、最終責任からは降りない。」
経営者がこの覚悟を背負い、「正しさ」を示す役割から意図的に「降りる」こと。これこそが、社員の自律性と主体性を引き出す戦略的制約となります。
- 論理的な正解を配らない
- 答えを先に示さない
- 人の人生を導こうとしない
その代わりに、「最終責任だけは手放さない」。この姿勢は、社員が安心して失敗し、挑戦できる【心理的安全性の最終防衛線】を構築します。([ナレッジ⑦参照])
3. 【実践】人が壊れずに続く「三層構造マネジメント」の設計
IKIGAI経営は、組織を持続させるため、経営を「管理すべき領域」と「管理してはいけない領域」に明確に線引きします。この線引きの精度が、社員の自己肯定感を守り、主体性を引き出す鍵となります。
| 層 | 目的(何を管理するか/しないか) | メリット(組織に生まれる価値) | 避けるべきリスク(マネジメントの制約) |
| 【第1層】生存条件の層 (管理領域:KPIを回す) | 事業の生命線維持 会社・事業・個人が生き延びるための最低条件(売上、利益、KPIなど)を徹底管理する。 | 生存力と責任体制の確保 短期的な生存力を確保し、明確な責任体制を構築。成果へのコミットメントを徹底する。 | 疲弊と組織の破綻 この層の論理(数値・期限)を第2層以降に持ち込み、社員を疲弊させること。甘い管理は組織の破綻を招く。 |
| 【第2層】志の層 (非管理領域:応援する) | 内なる可能性の引き出し 社員の「こうありたい」という方向性や挑戦テーマを目標化・評価せず、応援し、守る。 | 主体性と成長力の向上 社員の内発的な主体性と自律的な成長力を向上させ、イノベーションの土壌となる。 | 創造性の喪失 KPIや評価指標に組み込むと、志が「管理対象として壊れる磁場」となり、創造性が失われる。 |
| 【第3層】生きがい(IKIGAI)の層 (非介入領域:降りる) | 心の回復と安全基地の確保 社員が役割を外し「このままでいい」と感じられる安全基地を確保するためにリーダーは誰よりも先に降りる姿勢を見せる。 | レジリエンスと創造性 社員の心理的安全性の最終防衛線を構築し、困難な状況にも耐えうる真のレジリエンスと、ブレイクスルーの種となる創造性を生む。 | 自己肯定感の破壊と機能不全 生きがいを「語らせる」「測る」「評価する」といった介入は、自己肯定感を削り回復機能を破壊する。リーダーの覚悟がないと機能しない。 |
4. IKIGAIがもたらす「真のレジリエンス経営」
この三層構造を維持することで、組織には静かな「余白の空気」が生まれます。社員は、トップダウンの指示や正しさではなく、この空気に反応します。
- 内発的動機づけの起動:生きがいは、誰かに与えられるものではなく、環境によって「ふと、思い出す」ものです。IKIGAI経営は、その感覚が立ち上がる余白を消さない経営です。
- 不完全さの受容:IKIGAIは「好きなこと」「得意なこと」といった表層だけでなく、「迷い」「孤独」「報われなさ」といった深層(影)をも含みます。([ナレッジ④、ナレッジ③参照])これらの不完全さを含んだままでも、生きがいとのつながりを保ち続けられる構造が、社員の心の折れない力(レジリエンス)を築きます。
- 持続的な成長力:社員が生きがいを軸に動くとき、「頑張れ」と言われずとも、自ら学び直し、役割を変える持続的な成長力を発揮します。([ナレッジ①参照])
IKIGAI経営は、短期的な戦術ではなく、いかなる外部環境の変化にも屈しない、企業の「真のレジリエンス」を築くための、不変の経営姿勢です。
論理的な正しさに戻らず、最終責任だけを引き受けて立ち続ける。その中で、メンバーの主体性と事業の真の意味が再構築されます。
経営者のための源泉「IKIGAIパートナー」コミュニティ
IKIGAIパートナーは、経営者が一時的に「役割」を外し、判断の土台(原点)に立ち返るための、法人サードプレイスです。最終責任という重い覚悟を一人で持ち続ける必要はありません。
- 安全基地の実現:上下関係・評価・利害関係を持ち込まず、企業の「顔」を保ったまま、弱さや葛藤を本音で語れる唯一の「安全基地」を提供します。
- 共創による視点の獲得:参加企業と協働しながら、健康経営、広報、エンゲージメントといった具体的な経営課題を共に扱い、IKIGAI経営の未来を共創します。
社員一人ひとりの「生きがい」を、企業のレジリエンスと創造力の源泉とする、新たな経営の視点が身につきます。
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*シリーズ記事は順次リリースを進めてまいります。今しばらくおまちください。
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