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【IKIGAI対談】”生きがい”が切り拓く、地方における未来の新しい働き方

「働きがい」が企業を変え、地域を変え、日本を変える。
そう確信し、「生きがいを持って働ける社会」の実現に挑む岐阜県知事・江崎禎英氏と、IKIGAI WORKS代表・熊倉利和。「IKIGAIがあふれる社会」の実現に向けて、それぞれに歩んできた2人が語る、これからの日本のあるべき姿とは?
人と組織、そして社会を根本から変えていくヒントを、熱く語り合いました。

右) 岐阜県知事 江崎禎英氏
左) IKIGAI WORKS株式会社 熊倉利和 代表取締役


1.職場課題は一人ひとりの生きがいから解決?!

熊倉:本日はお忙しい中、ありがとうございます。そして、県知事就任、おめでとうございます! いやぁ、嬉しいですね。

江崎知事:ありがとうございます。

熊倉:実は以前、岐阜県内の企業がブライト500を取得する際、サポートさせていただいたことがあるんです。現在では、岐阜県からブライト500に認定された企業が10社にも増えていて、本当に素晴らしいことです。健康経営への県の取り組みが、着実に進化していることを実感します。

江崎知事:おかげさまで、県内の企業の皆さんの意識も大きく変わってきていると感じます。健康経営が単なる制度や取り組みではなく、「企業文化」として根づいてきている。そんな手応えがありますね。

熊倉:働きやすい環境が整ってくると、次は「仕事のやりがい」や、「働くことを人生の喜びに変えていく」ことに目が向くようになります。

こうした流れは、従業員一人ひとりの幸せ(ウェルビーイング)や、人を大切にする経営(人的資本経営)にもつながっていきますよね。

江崎知事:まさにおっしゃる通りです。これまでの「働き方改革」は、残業削減や健康診断の促進など、従業員の健康管理を「コスト」ではなく「投資」と捉える文化を着実に根づかせてきました。

次のステップでは、もっと根本的に発想を変えることが重要です。

「たくさんつくれば、たくさん売れる」という時代では、もはやありません。働く人が「この仕事をやりたい」と思ったら、その人のペースで働ける環境を整えていくことが企業には求められています。

そんな働き方を可能にする「生きがい経営」は、本当の意味で一人ひとりの「働きがい」を実現し、日本の職場環境を変えていくのだと考えています。


2.新たな働き方の実現が地方を生まれ変わらせる

江崎知事:私が今、提唱しているのは、「働き方改革」ではなく、「働いてもらい方改革」です。

前回の県知事選からの4年間、私は県内各地を丁寧にまわり、現場の声に耳を傾けてきました。その中で強く感じたのは、今の人手不足や企業の競争力低下の背景には、「ビジネスモデルが転換できていない」という根本的な問題がある、ということでした。

単に「人がいない」のではありません。「どう働いてもらうか」という視点を変えられていないからこそ、人が集まらず、企業も発展しない。だからこそ今、企業側の発想を大きく転換する必要があるのです。

熊倉:なるほど、おもしろい視点ですね。「働いてもらい方改革」ですか。確かに、従来の働き方改革の枠に収まらない、本質的な変革が必要だと私も常々感じてきました。

ぜひ、「働いてもらい方改革」の具体的な内容を、もう一歩踏み込んで教えていただけますか。

江崎知事:そうですね、人員不足で社員募集を行っていた企業の話をしましょう。その経営者は、あるとき、子育て中の女性こそが、最も生産性の高い働き方をしていると気づいたのです。

従来は、長時間働ける人が「役に立つ人」と見られていました。この観点からすると、子育て中の女性は、保育園のお迎えなどで時間の制約があり、雇用において不利になります。

しかし実は、時間の制約がある人こそ集中して仕事をするため、短時間で成果を出す力があるのです。「どうしてもこの時間までに仕事を終わらせたい」という強い想いが、生産性の高さに繋がっていくからです。

一方で、最低賃金の引き上げが進むなか、中小企業では人件費の負担が重くなっています。

しかし、「短い時間で、しっかり成果を出せる人財」を雇用していけば、人件費の削減にも役立ちます。この思考の転換は、これからの企業の発展において欠かせないことです。

熊倉:これを実現させていくには、企業側の意識を大きく変える必要がありますね。

これまでインタビューで知り合ってきた経営者との対談や私自身の経営経験から、「経営者のあり方」こそが本質だと痛感しています。IKIGAI WORKSは「誰もが仕事に働きがい、人生に生きがいを持てる社会にする」という信念のもと、まさにこの意識変革の普及に努めています。

江崎知事:そうなのです。こうした議論は、経済界ではまだほとんど行われていません。

しかし私は、「従業員がもっとも働きやすい環境を、企業が提供する」と発想を切り替えた瞬間に、日本の中小企業は間違いなく強くなると確信しています。

この「働いてもらい方改革」こそが、岐阜県の産業や地域の力を、さらに伸ばしていく原動力になることでしょう。


3.人手不足の解消は人財への理解から始まる

熊倉:なるほど。「働いてもらい方改革」が、ただのスローガンではなく、実際に企業の変革につながるという知事のお話、理解がいっそう深まりました。岐阜県内で、「働いてもらい方改革」をすでに実践している企業はあるのでしょうか?

江崎知事:はい。ある染物屋さんの事例があります。この会社は、従業員数14名でしたが、今では230人規模にまで成長しています。

採用基準は「社会的に立場の弱い人を優先する」こと。社員は障がいのある方や子育て中のお母さんが中心で、出勤日や時間もすべて本人が決めています。9割が女性で、みんなが生き生きと働いている。しかも売上はこの10年で10倍になりました。

熊倉:素晴らしいですね。ではなぜ、そうした柔軟な働き方が、生産性や売上に結びついているのですか?

江崎知事:この会社では「仕事をできるだけ細かく分ける」、そして「誰もがいろいろな仕事に関われるようにする」という仕組みづくりを行っています。「これは、あの人の仕事」と決めつけず、柔軟に役割を変えていく「多能工」の働き方を取り入れているのです。

それによって、限られた時間しか働けない人にも、その時間内でできる仕事を用意できるのです。

しかも、短時間勤務の人であっても、みんなが正社員です。「自分は会社に大切にされている」という信頼が、働く人の力をおおいに引き出していくのです。

熊倉:他社では決して受け入れられない働き方を正社員として保障しながら雇用されている。という事実があるからこそ、「この会社のためにがんばろう」と意欲もわいてくるのかもしれませんね。

「働く人」へと視点を向けて経営するだけで、状況は一変する。まさに発想の転換ですね。

江崎知事:「企業にとって都合のいい人」を雇おうとしている限り、人手不足は解消しません。しかし、働きたい人に合わせて企業が仕組みを整えていけば、人手不足は解消するのです。

賃金も同じです。賃金の話になると、最低賃金の引き上げばかりが注目されがちです。ですが、子育て中の女性にとって本当に大事なのは、世帯全体の収入が増えること。無理なく働きながら、家庭も生活も両立できる仕組みです。

熊倉:なるほど! 確かに会社自体の収支の話や現場の埋め合わせという採用の考え方をしていては辿り着けない視点ですね! これこそが知事の提唱する「働いてもらい方改革」なのですね。

江崎知事:はい、私が目指す一つの形です。そのうえで、地域に貢献してくれる企業を増やしていくことも、大切です。

この会社の場合は、利益を地域のために使ってくれています。地域の人たちがコミュニケーションを図れる喫茶店をつくったり、土地を購入して地域に開放したりと、地元に還元しているのです。

この会社の経営者は、子どもたちから「社長!」と親しまれ、会社は地域に愛される存在になっています。

熊倉:社会的には「立場が弱い」とされてきた人たちが活躍し、企業も成長し、地域にも還元される。まさに理想的な循環ですね。安易に成長を追うよりも、従業員を信じて、従来の枠では価値を発揮できなかった人たちにとって働きやすいを実現するために仕組みを作ってみる。

このように柔軟な考え方が広がれば、日本の働き方は大きく変わっていきますね。


4.価値観を変える推進こそ、イノベーション!

熊倉:知事のお話から、これまでの「ワークライフバランス」とは違う、もっと根本的な「働くことの意味」が伝わってきました。

改めてお聞きしますが、知事にとって「人生における働くこと」とは、どんな意味を持ちますか?

江崎知事:すべての人には、それぞれ重視する「ライフ(生活、人生)」があります。人生に対するエンゲージメントを高く保った状態で、従業員が働くことのできる会社は、結果的に業績を伸ばしていきます。私は、この順番こそが望ましいと考えています。

「ワークライフバランス」ではなく、「ワークインライフ」という考え方です。ワークライフバランスは、残業を減らして自由な時間を確保し、ライフを豊かにするという発想。つまり、ワークの領域を減らして、ライフの時間を増やすという考え方です。

一方、「ワークインライフ」は、まず守るべきライフがあり、その中でやるべきワークがあってこそ、その人の人生に根ざした働き方がはじめて成立するという考え方です。

熊倉:ライフが基盤となり、そのなかにワークが存在するという「ワークインライフ」の考え方、とても共感しました。まさに、これからの生き方・働き方に必要な視点だと思います。

江崎知事:たとえば、鮎釣りのような、時間的にも精神的にも余裕がなければできない趣味がありますよね。岐阜にはこれを実現できる自然の豊かさがあります。

私は、仕事は1つに絞る必要はないと考えています。「人生イコール仕事」という価値観に縛られず、サラリーマン、農業、家族との時間、そして趣味。複数の要素を持ってこそ、本当の「ライフ」になるのです。

そうした生き方を可能にする仕組みの一つとして、岐阜県では農家の兼業化を進める構想を描いています。東京や名古屋では得られない、人生の広がりがきっと実現できると信じています。

熊倉:「我慢してお金を稼ぐ時間」と仕事を見なすのではなく、仕事の時間も自分の人生を彩る大切な一部と捉える。もしくは、職場を成長や社会との繋がりを感じられる舞台として楽しむ。そんな従業員の「ワークインライフ」をサポートできる企業こそが、働く人を幸せにしていくのですね。

私たちIKIGAI WORKSは、「働きやすさ」と「働きがい」の両立を目指す組織を「IKIGAI企業」と呼んでいます。そのIKIGAI企業の軸となるべき考え方がまさに「ワークインライフ」なのだと実感しています。


5.岐阜発!新たな挑戦の数々を全国へ

熊倉:岐阜県から発信される「働いてもらい方改革」や「ワークインライフ」の哲学は、単なる地方創生に留まらない、日本社会全体の働き方や生き方を変える可能性を秘めていると感じます。

これらの取り組みを、政策としてどのように後押しし、日本全体に広げていこうとお考えですか?

江崎知事:「働いてもらい方改革」を、単なるスローガンではなく、実際に企業が取り組めるよう、政策として応援する仕組みを整えてきました。

たとえば、先ほどご紹介したような先進的な企業の担当者を講師に招き、中小企業の経営者や人事担当者向けの研修を開催しています。現場のリアルな成功事例を共有することで、具体的な変化を後押ししているのです。

さらに、企業が柔軟な働き方を導入するための設備や仕組みに関しても、補助金を出しています。

これまでは、生産性向上や売上アップに直結する設備投資にしか補助金は出なかったのですが、たとえ直接的な利益につながりにくくても、従業員が働きやすくなる工夫には積極的に支援を行う、という画期的な制度をスタートさせました。

こうした取り組みを通じて、働く人たちの「やりがい」「働きがい」、そして最終的には「生きがい」につながる社会を目指しています。

仕事は「生活のための苦役」ではなく、「人生を楽しむための舞台」であってほしい。

働くこと自体が楽しく、仲間と過ごす時間も楽しい。そんな社会を、岐阜から実現していきたいと考えています。

熊倉:本当にステキです。岐阜県の人たちがうらやましくなってきました。

江崎知事:「働いてもらい方改革」の考え方は、岐阜県に限った話ではなく、日本全体にとっても必要な視点だと考えています。

今後、リニア中央新幹線が開通すれば、東京から岐阜までわずか58分で来られるようになります。そうなれば、「仕事は東京、暮らしは岐阜」といった“デュアル居住(都市と地方の2拠点で暮らす新しいライフスタイル)も現実味を帯びてきます。

トンネルを抜ければ、空気も景色もまったく違う。そんな別世界に着いたという感覚そのものが、岐阜の大きな魅力になるでしょう。

また、若者が一度都市部に出ていくことも、私は前向きに捉えています。重要なのは「囲い込むこと」ではなく、「また戻ってきたい」と思えるような交流を築くことです。

岐阜で育った若者が、外でさまざまな経験を積み、帰ってきてくれる。そんな循環こそが、これからの地域づくりに必要だと思っています。

熊倉:まさに地方と都市部の未来の連携が垣間見えますね!

本日は貴重なお話をありがとうございました。働き方の未来を考えるうえで、非常に示唆に富んだ対談となりました。

最後に、岐阜という枠を超えて、今後、全国にどのようなインパクトを広げていきたいと考えていますか。知事がこれから描くビジョンと、その先に見据える日本の未来について、ぜひお聞かせください。

江崎知事:私はこれから、教育のあり方にも踏み込んでいきたいと考えています。暗記中心の詰め込み型教育では、AI時代を生き抜く力は育ちません。

自然に触れ、友達と走り回り、土にまみれるような、豊かな人間性を育てる教育が必要です。異年齢学級なども含め、新しい学びの形を岐阜から築いていきたいと考えています。

日本の中心に位置する岐阜は、リニア中央新幹線の開通によって、今後、新たな交流と発展の起点となっていきます。

従来の成長モデルや働き方の常識にとらわれず、多様な人の力を最大限に引き出す。そして、誰もが「生きがい」を感じられる働き方・暮らし方を、地域全体でつくっていく。

その実現を、政策として本気で後押ししていくことで、企業も地域も、そこに暮らす人々も、心から豊かになれる社会をつくっていきたいですね。そして「これからの日本の進むべき道を、岐阜から示していきたい」と強く思っています。


取材後記

7年前に初めて、まだ岐阜県知事になる前の江崎禎英さんと出会い、経済産業省の官僚として、「健康経営」や「働き方改革」の本質に切り込むその姿勢に、深く共感したことを覚えています。

今回の対談で改めて確信したのは、「働きやすさ」と「働きがい」を両立させるIKIGAI企業こそが、これからの日本を変えていく原動力になる、ということ。

江崎さんの言葉には、理想を現実に変えていく行動力と、社会の未来を見据える情熱が込められていました。

「誰もが仕事に働きがい、人生に生きがいを持てる社会」を、日本の真ん中・岐阜から。私たちもIKIGAI WORKSの目指す未来がいま確かな輪郭を帯びて動き始めています。

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