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知恵と想いで紡ぐ物流。社員の幸せを北極星に掲げる経営(ワイズ通商株式会社)

自宅の和室6畳間から始まり、今や全国1万社以上のネットワークを持つ物流商社へと成長。自社でトラックを持たず「知恵」を武器に業界の常識を覆してきた同社ですが、その飛躍の原動力は精緻なシステムだけではありません。
過去の痛みを教訓にした対等なパートナーシップ。失敗を咎めず、ありのままを認め、部下の成長を心から願う温かな組織の文化。そして「事業は、社員が成長し幸せになるためのツールに過ぎない」と言い切る鈴木社長の言葉には、人を大切にし、共にある経営の真髄が宿っています。
成果や効率が優先されがちな現代において、働く人の幸せを揺るぎない中心に据え、地域をも明るく照らす、新しい時代の経営に迫ります。

ワイズ通商株式会社:鈴木 康仁さん(代表取締役 )

インタビュアー:南山大学「企業とコミュニティー」研究プロジェクトメンバー
南山大学 経営学部:川北 真紀子さん(教授)
茨城キリスト教大学 経営学部:澤端 智良さん(准教授)
一般社団法人日本IKIGAIデザイン協会:熊倉 利和(代表理事)

本記事は、普段のIKIGAI経営の視点に加え、南山大学 研究プロジェクトのメンバーが、企業とコミュニティーの関係性というテーマを深掘りした特別インタビューです。

1. 「知恵」を武器に!和室6畳からの挑戦

熊倉 利和(以下、熊倉): 本日は愛知県碧南市の素晴らしい新本社にお招きいただき、ありがとうございます。まずは、ワイズ通商の事業概要と、創業の経緯について教えていただけますか。

鈴木 康仁さん(以下、鈴木さん):はい。今期で創業から丸24年になります。私たちは「物流商社」として事業を展開していますが、実は自社でトラックを持っていません。グループ会社には車両を持つ会社もありますが、ワイズ通商自体はマッチングに特化しています。

熊倉:物流会社なのにトラックがないというのは、どういうことなのでしょうか。

鈴木さん:僕が会社を立ち上げた時、とにかく資金がありませんでした。母親に300万円を借りて、自宅の和室6畳間を事務所にしてスタートしたんです。トラックを買うお金なんてない。だから「使えるものは知恵しかない」と腹をくくりました。そこから、「ワイズ(知恵)」を使って事業を展開する「ワイズ通商」という社名にしました。

熊倉:なるほど。具体的にはどのような知恵を使われたのですか。

鈴木さん:当時はバブル崩壊後で、街を走っても仕事がなくて困っているトラックが溢れていました。「これはチャンスだ」と思いました。そこで僕らが営業に特化してメーカーさんから荷物の依頼を受け、それを全国の運送会社さんに結びつける仲介、つまり商社の役割に徹したんです。

ただマッチングするだけでなく、図面を見て「この荷物なら、この車種を使った方が台数を減らせて効率がいいですよ」と、メーカーさんにコスト削減や効率化の提案を行う「物流コンシェルジュ」としての価値を提供していきました。

熊倉: 今でいうプラットフォームのような役割を、ご自身の営業力と知恵で切り開いてこられたのですね。

鈴木さん:最初はなかなか理解してもらえませんでした。「おたく、トラックないんでしょ?」とよく言われました。でも、お客様が手配に苦しむような緊急時や、特殊な荷物の時にこそチャンスが来ます。「ワイズのネットワークなら、絶対に車を用意できます」と提案するんです。

例えば、「今日名古屋から東京まで、緊急で運んでほしい。予算はいくらでもいい」という依頼があったとします。通常の運送会社なら自社の車が空いていなければ断りますが、私たちは条件を広げて、静岡や大阪で空いている車を探し出してマッチングします。そうやって「ワイズに頼めばなんとかなる」という信用を積み重ねてきました。最初は300社ほどだったネットワークも、今では1万社を超えるまでになりました。

2. 痛みを越えて築いた「対等」な関係と、1万社のネットワーク

川北 真紀子さん(以下、川北さん):1万社という巨大なネットワークを築き、維持していく秘訣はどこにあるのでしょうか。

鈴木さん:一つは、徹底した与信管理とルール作りです。実は創業間もない頃、情に流されて危ない会社と取引をしてしまい、200万円の焦げ付きを出してしまったことがありました。その時、自分の甘さで会社の資金を損ない、一緒に働く社員に迷惑をかけてしまったことを猛省したんです。

それ以来、「仲がいいから」「お世話になったから」という情で取引をすることはやめ、「ビジネスはビジネス」と割り切る厳しい基準を設けました。帝国データバンクの評点で基準を満たさない企業とは、どんなに大きな案件があっても取引をしないと決めています。過去に1ヶ月2000万円という大きな案件があった時も、相手の経営状態に不安があったため、営業担当がやりたがっても僕がストップをかけました。案の定、その会社は2ヶ月後に倒産しました。

川北さん:情に流されない厳しさがある一方で、御社は協力会社さんへの教育やフォローも手厚いと伺っています。

鈴木さん:ええ。何かミスがあった時、「おたくとはもう付き合わない」と切り捨てることは絶対にしません。ミスが起きた時こそ、しっかり話を聞いて教育をするチャンスです。全くミスをしない企業よりも、ミスから学び、私たちの教育を素直に受けてくれた企業の方が、結果的により強い信頼関係で結ばれるんです。

川北さん: ミスを許容し、共に成長していくスタンスですね。それは、荷主であるメーカーさんに対しても同じなのでしょうか。

鈴木さん:基本的には同じです。私たちはメーカーさんからお金をいただいていますが、だからといって向こうが偉いわけではありません。対価としてプロのサービスを提供する、フィフティ・フィフティの対等な関係だと思っています。逆にお客さんの中で、協力会社が1つミスをしたから「出入り禁止だ」と言うようなところとは、うちも付き合いません。

3. 理不尽には屈しない。パートナーと社員を守る「あり方」

澤端 智良さん(以下、澤端さん): 物流業界は、荷主の要求を下請けが飲まざるを得ない構造があるイメージがありますが……。

鈴木さん:確かに、下請けが無理を被る風習はあります。予算がないから運賃を削れと言われたり、高飛車な態度を取られたりすることもありました。でも、私たちは理不尽な要求や、担当者の個人の都合には決して付き合いません。

以前、ある大きな工場で、協力会社のドライバーさんが積み込み中に荷崩れで怪我をして救急車で運ばれる事故がありました。その時、荷主側の運送会社が「お客さんを守るために、自分で勝手に事故を起こしたことにしてくれ」と隠蔽を要求してきたんです。

澤端さん: それは……ひどい話ですね。

鈴木さん:もちろん「できません」と即座に断りました。事実を曲げることはできないし、何より現場で働いているドライバーさんに危害が及ぶようなことを隠す会社とは、どれだけ大きな売上があっても取引は続けられません。その会社とは即座に取引を停止しました。数字のために社員やパートナーを犠牲にするような関係は、結局どこかで破綻するんです。

澤端さん: そうした毅然とした態度を貫けるのは、ワイズ通商に圧倒的なネットワークと知恵があるからですね。

鈴木さん:そうですね。最近は労働時間規制の問題もあり、トラックが走れなくなってきています。今まで高飛車に「運送会社なんかいつでもいるわ」と言っていたお客さんに、誰も車を貸さなくなっている。そういう逆転現象が起きている中で、私たちが間に入り、お互いが対等に気持ちよく仕事ができる環境を整えることが、より一層求められていると感じています。

4. 「部下の成長を願う人」だけがリーダーになる組織と、日報の魔法

熊倉: 社員の方々への教育や、組織づくりについてもお伺いしたいです。新卒採用も積極的に行い、幹部へと成長されている方が多いそうですね。

鈴木さん:はい。大卒の採用を始めて16年になりますが、今では社員の約7割が新卒採用で入社した子たちです。一期生はもう取締役にまで成長してくれています。会社が大きくなるにつれて、人事評価のシステムも大きく変えました。昔は仕事ができる人間、営業成績が良い人間が管理職に上がっていく仕組みでしたが、それを一切やめたんです。

熊倉: やめた、というのは驚きです。どのような基準に変えられたのですか。

鈴木さん:管理職になれる絶対条件を「部下の成長を心から願える人」にしました。どんなに仕事ができても、人を陥れたり、自分の利益だけを追求したりする人は、うちの会社では絶対に管理職になれません。そういう昇進試験を設け、もし役職に就いた後に自己中心的な振る舞いが見られれば、すぐに役職を外すという誓約書まで書いてもらっています。

熊倉:ものすごく明確なメッセージですね。その風土を作るために、日々どのようなコミュニケーションを取られているのでしょうか。

鈴木さん:そのために「日報システム」を大切にしています。日報と聞くと、上司が部下を管理して縛るためのものと思われがちですが、うちは違います。

僕が6畳間でやっていた頃、会社が成長して拠点が分かれていく中で、離れた社員を直接見てあげられない寂しさがありました。だから、1日の振り返りを書いてもらい、そこに僕が一人ひとりアドバイスやコメントを返すために始めたんです。管理ではなく、成長のための交換日記のようなものです。

熊倉: 日報が、社員への愛情を伝えるツールになっているのですね。

鈴木さん:そうです。今では僕だけでなく、役員全員が毎日、全国の社員の日報を見ています。どんな思いで仕事をして、何に悩んでいるかが分かるから、的確な助言ができるし、頑張りを認めてあげられる。書くことで自分を見てくれているという安心感が生まれるから、みんな自発的に書いてくれます。

熊倉: 「人は変われるか」というテーマについて、鈴木社長はどうお考えですか。

鈴木さん:うちの会社には格言があって、「人は変われないかもしれない。でも、足すことはできる」と伝えています。

人間、自分自身の根本を変えようとすると苦しくなります。だから、「変わらなくていいよ。そのままでいいから、今の自分に新しい考え方やスキルを少しだけ『足しなさい』」と言うんです。そうすると、社員はすごく心が楽になる。「その状況に合わせて、求められる役を演じればいいだけだよ」と。そうやってありのままの自分を受け入れてもらえることで、結果的に人は大きく成長していくんです。

5. 事業はツール。社員の幸せという北極星と、地域を照らす光

川北さん: 素晴らしい新本社ビルですが、ショールームにはスーパーカーに並んで、古い軽自動車が展示されていましたね。

鈴木さん:ああ、あれは僕が創業した時に10万円で買った、初めての営業車なんです。ランボルギーニやポルシェの目の前に、あえて置いています。社員には「ランボルギーニを見てほしいんじゃない。ここからスタートしたんだという原点を忘れないでほしい」と伝えています。

川北さん: 原点を大切にされているのですね。実は、本社を東京に移す計画もあったそうですが、御社が「地域」に根差す決断をされた、その背景にはどのような思いがあったのでしょうか。

鈴木さん:そうなんです。会社が大きくなってきた頃、六本木ヒルズに本社を移すぞと意気込んで、実際に見に行きました。でもその帰り道、取引先の社長さんに「うちの裏の土地を使えばいいじゃないか」と言われて、そっちの方が魅力的に思えてしまったんです。

同時期に青年会議所(JC)の活動を通じて地域と深く関わるようになり、イタリアへビジネスで行った際に、「企業がその地域で輝けば、人は自然と集まってくる」と気づきました。僕のルーツはこの碧南市にある。だったら、東京に出るのではなく、ここで明るく輝く本社を建てて、人が集まる場所にしようと決めたんです。

澤端さん: 地域貢献活動も幅広くされていますね。具体的に、御社が地域社会に対してどのような「役割」を果たしていきたいとお考えですか。

鈴木さん:地域の少年野球の監督をやっていたご縁で、練習場を無償で貸し出したり、遠征用のバスを提供したりしています。また、コロナ禍で閉館してしまった地元の「衣浦グランドホテル」を、市長や商工会議所からの要請で再建することになり、今は僕が経営を引き受けています。

地域貢献というと綺麗に聞こえますが、結局のところ、まず1番の貢献は「雇用を生み出すこと」だと思っています。そして、地域で信頼され、良い評判が広がることは、巡り巡って会社のブランディングになり、優秀な学生が集まってくることにも繋がります。

熊倉: 最後に、ワイズ通商というグループを、これからどのように導いていきたいとお考えですか。

鈴木さん:数字の目標は、銀行さんには伝えますが、自分の中では一切立てたことがないんです。僕が目指している北極星は、事業の拡大や利益の追求ではなく、「社員の幸せ」と「社員の人間的な成長」です。

事業はあくまで、社員が経験を積み、成長するための「ツール」に過ぎません。目標を事業や数字に置いてしまうと、それが達成できなかった時に苦しくなってしまう。でも、目的を「人の成長」に置けば、今この瞬間も誰かが経験を積んで成長しているわけですから、毎日がハッピーなんです。

毎年年末に納会をやるのですが、うちの納会はいい大人が号泣するんですよ。「厳しかったけれど、こんなプロジェクトができて成長できた」と感謝を伝えてくれる。その瞬間を見るのが、僕にとって何よりの喜びなんです。

次の社長もすでに公表していますが、彼が社長になる条件も「誰よりも社員の成長を願う人」というたった一つだけです。彼がこれからどんな道を歩もうと、社員の成長と幸せという北極星さえブレなければいい。社員が輝き、成長し続ける場であり続けること。それが、ワイズ通商の揺るぎない願いです。

取材後記

ワイズ通商の取り組みを通じて、IKIGAI経営の本質がくっきりと見えてきました。

「事業は社員が成長するためのツール」という理念のもと、売上や効率よりも社員の成長(あり方)を最優先する経営が貫かれています。この「あり方」を土台としつつ、「自社の得意なこと」と「稼げること」を明確にし、それを最大限に活かす仕組みを構築することで、業績向上と組織強化に繋げています。

具体的な実践例として、トラックを持たずに「知恵」で築いた1万社以上のネットワークや、独自の与信管理による対等なパートナーシップ重視の姿勢、さらに、日報というツールが管理のためではなく、離れた社員への愛情と成長を願う交換日記として機能していることなど。「人は変わらなくていい、足すだけでいい」という言葉で、社員のありのままを包み込んでいること。

こうした安心感という土壌があるからこそ、社員は自らの意思で挑戦し、やりがいを手にすることができるのでしょう。

IKIGAI経営とは、単なる精神論ではなく、企業の得意・稼げる基盤の上に、人を大切にする「あり方」を統合し、人が自ら幸せになっていける空気と関係をひらく営みなのだと、改めて感じました。


【企業データ】
会社名:ワイズ通商株式会社
事業内容:物流商社事業、貨物利用運送事業、物流コンサルティングなど
所在地:〒447-0081  愛知県碧南市吹上町4-23-1
資本金:30百万円
従業員数:70名(グループ全体約200名)

監修者画像

【監修者】熊倉 利和

一般社団法人日本IKIGAIデザイン協会 代表理事/IKIGAI WORKS株式会社 代表取締役/IKGAI広場 編集長

新卒であさひ銀行(現りそな銀行)に入行後、慶應義塾大学大学院(MBA)を経て、セルメスタに転職、2011年に代表取締役に就任。2021年、IKIGAI WORKS株式会社を設立。
健康経営伝道師として350社と750万人にデータヘルス計画や健康経営のコンサルティングを実施。生きがい・働きがいを持って経営を推進するトップランナーらとのインタビューや講演、イベント開催など健康経営や働きがいの普及啓発に取り組む。今では健康経営、ウェルビーイング、人的資本経営を包含し、「IKIGAI経営」の普及啓発へ公私ともに邁進。IKIGAIオタクとしてすべての社会に「生きがい」を広めることを生業とする。

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