【イベントレポート】「生きがい」を言葉にして、現場へ。三幸土木のIKIGAI新人合宿アフターインタビュー(三幸土木株式会社)
2026年5月、三幸土木株式会社の新入社員を対象に、二日間の「IKIGAI新人合宿」が開かれました。狙いは二つ。一人ひとりが自分の生きがいを言葉にし、それを会社のパーパスと結びつけること。そして、合宿の時間を共に過ごすことで、同期がチームになることです。
合宿からおよそ一か月。参加者はそれぞれの現場で働きはじめています。二日間で言葉にしたものは、現場で役に立っているのか。振り返りインタビューでは、手応えも、まだ届いていない実感も、そのまま語られました。
参加者:三幸土木株式会社 新入社員(IKIGAI新人合宿の参加者)
ファシリテーター:大橋 渉太(一般社団法人日本IKIGAIデザイン協会)
1. 「自分に生きがいなんてない」——合宿前の身構え
インタビューは、机を囲んだくつろいだ空気の中で始まりました。ファシリテーターの最初の問いは、「合宿に行くぞ、となったとき、どんな心境でしたか」。
「何をするのか情報が全くなかったので、不安がありました」と、ある参加者は振り返ります。「ホテルまでは良かったけれど、そこからどこへ行くんだろう、何をするんだろうという不安があった」。
「知らないことをやるのが楽しい時期でもあるので、不安ながらもワクワク感があった」という参加者もいれば、テーマそのものに身構えていた参加者もいました。「自分に生きがいなんてないだろうと思っていたので、人から『生きがいは?』と聞かれるのが怖かった」。
ファシリテーターの側から見た初日も、同じでした。参加者はそれぞれ「綺麗な自分を立てて」問いを受け流そうとしていた。一人あたり一時間ほどの対話の大半を、自分の話をすることと、その構えをほどくことに使ったといいます。
2. 食卓とサウナが、身構えをほどいた
構えをゆるめたのは、プログラムの合間に置かれた時間でした。研修施設のピザ窯で焼いたピザ。バレルサウナ。そして、たっぷりと並んだ食事です。
「昼飯が本当に美味しくて、それで調子に乗ってしまった」と、ある参加者は笑いながら振り返ります。昼も夜も張り切って用意された料理に、「胃袋の限界」という言葉が出るほどでした。夜には記憶がなくなるまで飲んだという参加者もいました。
二日目のワークでは、「一緒にできて、一日目より仲が深まった感じがします」という声が上がりました。帰りの車中では、それまで口数の少なかった参加者が、自分から話し始めたといいます。
その変化は、合宿の場だけで終わりませんでした。配属後、たまたま同じ現場に居合わせた参加者は、「どうしようと思ったけれど、向こうから話しかけてくれた」と振り返ります。二日間で縮まった距離が、現場でそのまま続いていました。

3. 会社の理念と、自分の生きがいがつながった日
二日目の中心は、会社の理念と自分自身の生きがいをつなげるワークでした。ファシリテーターが、会社の理念と自分の生きがいをつなげてみてどうだったかを尋ねます。
「今まで生活の中でいろいろ難しく考えすぎていたけれど、こんなにシンプルでいいんだ、ということが分かりました。もっと簡単に考えていいんだなと。それが自分にとっての発見でした」。ある参加者は、その過程での気づきをこう語りました。
別の参加者は、思いが言葉になった実感を挙げます。「自分がどうありたいかを考えたとき、分かりやすい言葉がひとつ決まった。言語化できたことで、自分の考えを整理しやすくなったと感じています」。
会社の理念と自分の生きがいが重なった手応えを、はっきりと言葉にした参加者もいました。自分の生きがいは「笑顔」や「幸せ」だった。会社が向かおうとしているところとも、それは重なっている。だから自分が広めていく——。「幸せを伝播していくんだ、と。僕が中心になって。この辺はうまくいったのかなと思っています」。
「無駄なことはしたくない」という本音や、「人が機嫌よくハッピーでいるために、自分なら一生懸命やる」という言葉も、この二日間で少しずつ形になっていったものです。

4. 現場で動きはじめた言葉と、まだ届かない実感
合宿から一か月。現場での仕事が本格的に始まっています。ファシリテーターは、現場に出てから感じている変化を尋ねました。
「自分が選んだ『恩返し』という言葉を意識するようになりました」。そう語る参加者は、現場での努力を義務としてではなく、誰かへの恩返しとして捉え直そうとしています。同期には負けたくない。体力を武器に、知識も経験も追いつきたい。そうした思いの根底に、この言葉が浮かんでくるようになったといいます。
周囲との関わり方が変わったという声もありました。「自分の生きがいが『笑顔』や『幸せ』だったので、自分がまず笑顔で話しかけることを意識しています。そうすると、周りの人も優しく接してくれる。現場でもそのことを大切にしています」。
一方で、届いていない実感も率直に語られました。「そこまでの影響力がまだ持てていないので、まだそこまではいけないなというところだと思います」。ただ、と続きます。「最初の場でどこかで気持ちが変わって、その後、意識するようになった」。
この日は、その先の育成にも話が及びました。一人が戦力になるまで十年かかると言われてきた世界を、学びの材料やサポートの仕組みを整えることで、五年、三年へと縮めていきたい。そのためのアシストになるものを作りたい——そうした展望も語られました。
編集後記

合宿には、二つの狙いがありました。生きがいを言葉にして会社のパーパスとつなぐこと。そして、その時間を通じてチームになること。
前者について、「この辺はうまくいったのかなと思っています」と自分の言葉で言い切った参加者がいました。同じ日に、「そこまでの影響力がまだ持てていない」と言った参加者もいました。どちらも、同じ振り返りの席で語られています。
後者は、もっと静かなところに現れていたように思います。帰りの車中で、それまで黙っていた参加者が話し始めたこと。配属後にたまたま同じ現場で顔を合わせたとき、向こうから声をかけてくれたこと。ぎっしり組まれたプログラムの、その合間にあった食卓やサウナの時間が、効いていたのかもしれません。
「自分に生きがいなんてない」と身構えていた人たちが、一か月後には「恩返し」「笑顔」という自分の言葉を持って現場に立っている。その言葉がこれからどうなるのかは、まだ誰にも分かりません。分からないまま、この日の座卓には、手応えと物足りなさが並んで置かれていました。
【企業データ】
会社名:三幸土木株式会社
事業内容:土木建築一式工事、建築資材の販売/砕石、砂利の採取及び販売、産業廃棄物収集運搬業、前各号に付帯関連する一切の業務
所在地:(日進本店)〒470-0103 愛知県日進市北新町北鶯91-5
資本金:30百万円
社員数:103名