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志を掲げ、超ブラックから脱却した建設会社の「あり方」変革(三承工業株式会社)

建築業という男性中心の業界において、三承工業さんは、女性活躍推進や柔軟な働き方を先駆的に導入してきました。かつて「超ブラック企業」と自ら語るほど厳しい時代を経験した同社は、なぜ、制度や効率を度外視してまで、子育て世代の女性や、働く意欲を持つ人々を積極的に迎え入れたのでしょうか。それは、経営者自身の過去の苦悩と、地域社会の課題を解決したいという強い「志」に裏打ちされた、「人を大切にする文化」の醸成にありました。経営者の覚悟と、社員の「ありのまま」を受け入れる「場のあり方」が、いかにして会社を持続可能な成長へと導いたのか、その物語を紐解きます。

三承工業株式会社: 西岡 哲人さん(代表取締役)

1. 岐阜県の「働いてもらい方改革」と経営者の原点

―― 本日はよろしくお願いします。貴社は岐阜県が推進する「働いてもらい方改革」の優良事例として注目されています。まず、岐阜県がこの改革を推進する背景について、西岡さんの認識されているところから教えていただけますか。

西岡 哲人さん(以下、西岡さん):岐阜県は、働く人の不足率が全国的に見ても高い水準にあり、労働力人口の確保が大きな課題となっています。この課題に取り組むため、県は、特に女性をはじめとする多様な人材がその能力を発揮できる職場環境づくりを目指し、「働いてもらい方改革」を推進していると認識しています。

―― そうした県の課題に対し、貴社は早くから女性活躍や柔軟な働き方に取り組んでいらっしゃいますね。貴社の取り組みが始まった背景には、西岡さんご自身のご経験が深く関わっているそうですね。

西岡さん:はい。弊社は1999年に創業し、2006年に法人化しています。当時は本当に男性中心の、いわゆる在来の建設業という世界でした。しかし、取り組みの原点には、私の母の経験があります。母は不動産の妻でしたので、バブル崩壊後、在職証明や転職経験がなく、働きたくても就職ができませんでした。働けないことで家族に八つ当たりをしてしまうような状況を見て、「働きたくても働けないお母さんがいる」ということを強く覚えていたのです。

―― 過去の経験が、「働きたい意欲を持つ人を支援したい」という強い想いにつながっているのですね。

西岡さん:まさにその通りです。また、私自身も元々超ブラック企業出身で、会社自体もかつては誰もが距離を置いて避けようとするような、非常に厳しい環境でした。みんなすぐに辞めていき、私自身も心筋梗塞になったり、売上や利益が下がったりと、大変な時期を経験しました。結果として社員のやる気が低下しているのを見て、これは「俺が変わるしかないな」と思い、2010年頃から会社を変えていくことを決意しました。

―― そのような変革の決意が、具体的な施策へと結びついていったのですね。

西岡さん:ええ。そして、私が経験したからこそ、「うちでやったらいいんじゃないか」と思ったのが、女性の働き方改革だったのです。

2. 超ブラック企業からの脱却と「カンガルー出勤」誕生秘話

―― 貴社が女性活躍推進に本格的に舵を切ったのはいつ頃からなのでしょうか。

西岡さん:2015年から女性が主導する女性活躍が始まっています。当時は、会社の女性社員だけでなく、協力会社の奥さんや男性スタッフの奥さんが集まった「チーム夢子」というチームが発足しました。

―― そのチームの活動が、有名な子連れ出勤制度「カンガルー出勤」につながるのですね。

西岡さん:はい。チーム夢子の代表をしていた女性は、上の子が18歳くらいで、下の子を40歳過ぎてから産むか悩んでいた時期でした。その時、チームのみんなが「子供は産んでほしい」という想いを持ち、それがきっかけの一つとなり、子育てと仕事を両立できる仕組みを考え始めました。

―― 「カンガルー出勤」とは、具体的にはどのような仕組みなのでしょうか。

西岡さん:子育て中の社員が、子どもを連れて出勤できる仕組みです。子どもたちは泣いていても大丈夫で、私たちはYouTubeをつけて、アンパンマンや、お猿のジョージなど、子どもが好きなチャンネルに変えてあげるというような対応もしています。

―― それは、建設業では非常に珍しい、柔軟な「場の提供」だと感じます。

西岡さん:この取り組みを始めたことで、建設業界では初となるSDGsアワードを受賞しました。国会でも「カンガルー出勤」という言葉を使っていただいたり、上場企業がこの仕組みを導入してくれたりもしています。

以前、私はシングルファーザーとして4人の子どもを育てていた時期があります。当時は、子どもを車に乗せてDVDを見せながら仕事をしていて、それを理由に離婚を宣告された経験がありました。そういう経験からも、子どもと一緒にいたいという社員の想いを、会社として尊重したいと考えています。

3. 社会性と経済性の両立:短時間労働がもたらす革新

―― 貴社では、子連れ出勤だけでなく、短時間の労働環境も積極的に提供されているそうですね。

西岡さん:はい。私たちは「超短期労働」と呼んでいますが、1時間でも2時間でも好きなだけ働いていいですよ、という働き方を推進しています。狙いは、優秀な女性に来てもらうことです。以前は正社員1人でやっていた仕事を、今は短時間勤務の有能な4人の女性がやってくれています。

―― 優秀な人材を短時間で複数雇用することで、どのような効果がありましたか。

西岡さん:彼女たちは高度な業務スキルを持っているので、例えば、ある女性が得意な文書チェックや申請業務などを、以前は10日かかっていたところを2日ぐらいでやってくれたりします。短時間で働くことで、むしろ角度の深い仕事をしてくれるのです。

―― 優秀な人材は、フルタイムを求めて都会に出てしまうという課題がある中で、地方でその能力を活かせる場を提供しているということですね。

西岡さん:その通りです。また、私たちは、この超短期労働の仕組みを、通常の事務だけでなく、会計や労働法規に強い専門職の人たちにも広げていきたいと考えています。社員として雇用するには限界がありますし、景気の変動で縮小する際に、会社も社員も嫌な思いをしないよう、お互いが納得できる形で業務委託に近い働き方を増やしたいと考えています。

―― そのような柔軟な働き方を推進する上で、西岡さんが最も大切にしている理念は何でしょうか。

西岡さん:それは、社会性と経済性の両立です。カンガルー出勤だけをして仲良しごっこをしている、つまり社会性だけを伸ばしても、企業である理由がありません。本業である建築事業(売上)の基盤をしっかり持ちつつ、その上で、女性活躍や社会貢献を通じて、目に見えない資本を積み重ねていく。この両立が、企業を持続可能にするキラーワードだと確信しています。

4. 地域と現場をつなぐDX推進と未来の働き方

―― 建築業はDX化が遅れている業界と言われますが、貴社ではどのようなデジタル技術を活用されているのでしょうか。

西岡さん:私たちは、DXやAIを手段として捉え、特に現場の非効率を改善することに力を入れています。現場の職人やスタッフが嫌がる日報入力を、音声で行えるシステムを自社で開発しました。

―― 音声で日報を入力できると、具体的に現場はどのように変わるのでしょうか。

西岡さん:職人さんは車で帰る時に、アプリを立ち上げて、その日にあったことを喋るだけです。それが自動でテキスト化され、日報のフォーマットにまとまります。さらに、まとまった情報をAIにかけることで、「この人には会いに行って話を聞くべき」「この人は心配してフォローすべき」といったアラートが管理者に届く仕組みを作っています。

―― それは、単なる効率化ではなく、現場のコミュニケーションや、社員の心理状態を把握するための仕組みなのですね。

西岡さん:そうです。現場はパチパチ入力するのが嫌いですし、職人同士はトラックの中でぶっちゃけ話をします。そのノリで話せばいいという仕組みを作ることで、現場のストレスを減らそうとしています。私たちは、DXによって理性を担わせ、経営者の部分や現場にきちんと落とし込んで浸透させることを目指しています。

―― 貴社は地域社会の課題解決にも積極的に取り組んでいらっしゃいますね。ミッションの「社会課題を見つけ出して自走していく」という部分ですね。

西岡さん:はい。私たちの「三承夢ハウス」という事業は、社会的少数派、具体的には低所得者、外国籍の方、高齢者、ひとり親の方などに住宅を提供するという取り組みを行っています。これはSDGsの「貧困をなくそう」や「住み続けられるまちづくりを」という目標に合致しています。

私は日本青年会議所での経験から、政府の一次情報を得て、次の時代に何が来るのか(SDGs、働き方改革)を予測し、会社の取り組みをブランディングしてきました。私たちは、上から目線で地域を変えるのではなく、地域の企業が持続可能になり、優秀な人材が集まるような環境を、自分たちの実践を通じて作っていきたいと考えています。

取材後記

「俺が変わるしかないなと思って」「腹を決めた」──西岡さんが語った、超ブラック企業から脱却し、多様性を重視する経営へと転換した言葉が、今も心に残っています。かつて自身が体験した子育ての苦悩や、母親の就職難という経験が、子連れ出勤や超短期労働という具体的な施策の原点となっていました。

これは、まさにIKIGAI経営の核心を突く実践であったと考えます。西岡さんの経営は、制度や施策(やり方)を導入すること自体が目的ではなく、社員の「ありのまま」の人生の葛藤を受け入れ、「働きたい」という純粋な想いを尊重する「場のあり方」にこそ軸足が置かれています。

その「あり方」の変化が、結果として優秀な人材の獲得と、社会課題の解決、そして経済性の両立という成果につながっているのです。IKIGAI経営とは、完璧な組織体制を求めるのではなく、経営者の覚悟が、人が自ら幸せになっていける空気と関係をひらく営みなのだと、改めて確信しました。


【企業データ】
会社名:三承工業株式会社
事業内容:建築工事(注文住宅、公共事業)、外構工事、フランチャイズ事業、社会課題解決型住宅事業(三承夢ハウス)
 所在地:〒500-8259 岐阜市水主町二丁目53番地
資本金:10百万円
従業員数:46名

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【監修者】熊倉 利和

一般社団法人日本IKIGAIデザイン協会 代表理事/IKIGAI WORKS株式会社 代表取締役/IKGAI広場 編集長

新卒であさひ銀行(現りそな銀行)に入行後、慶應義塾大学大学院(MBA)を経て、セルメスタに転職、2011年に代表取締役に就任。2021年、IKIGAI WORKS株式会社を設立。
健康経営伝道師として350社と750万人にデータヘルス計画や健康経営のコンサルティングを実施。生きがい・働きがいを持って経営を推進するトップランナーらとのインタビューや講演、イベント開催など健康経営や働きがいの普及啓発に取り組む。今では健康経営、ウェルビーイング、人的資本経営を包含し、「IKIGAI経営」の普及啓発へ公私ともに邁進。IKIGAIオタクとしてすべての社会に「生きがい」を広めることを生業とする。

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