【イベントレポート】「失敗を恐れず楽しむ」が一択。一人の社員の情熱が組織を変える瞬間
2026年3月18日、オンラインにて「IKIGAIパートナーウェビナー」が開催されました。主催は一般社団法人日本IKIGAIデザイン協会です。
今回のウェビナーは、IKIGAIパートナー企業で働く従業員のみなさんの「働きがい」にスポットを当てる新企画としてスタートしました。今後、リレー形式でさまざまな企業で働く従業員の方をお招きし、それぞれの働きがいに光を当てていく予定です。
記念すべきトップバッターにお迎えしたのは、株式会社ハンナで労務を担当する吉岡景子さん。テーマは「わたしが推す!うちの会社の働きがい!!」です。日本の職場で「働きがい」を感じている人がわずか5%という現状の中、一人の社員の視点から、挑戦を後押しする組織のあり方と、自ら働きがいを見出していく軌跡について対話が交わされました。
ゲスト:吉岡 景子さん(株式会社ハンナ 労務)
ファシリテーター:熊倉 利和(一般社団法人日本IKIGAIデザイン協会 代表理事)
司会:渡辺 由美子(一般社団法人日本IKIGAIデザイン協会 理事)
1. 95%の眠れる可能性に火を灯す
イベントは、一般社団法人日本IKIGAIデザイン協会の渡辺 由美子理事による問題提起から幕を開けました。
「日本の職場で、仕事に熱意を持っている従業員はわずか5%しかいない」──渡辺さんは、米ギャラップ社の調査データを引き合いに出し、現代の日本社会が抱える課題を指摘しました。しかし、協会はこの現状を悲観するのではなく、むしろ「残り95%の人々が持つ眠れる可能性」と捉えています。
「外側からのアプローチだけでは人は幸せになれません。自分自身の内側にある『生きがい(IKIGAI)』を活かせる場を創ることができれば、その95%は爆発的な可能性に変わるはずです」
こうした想いのもと、同協会は企業と個人が共に生きがいを探求する「IKIGAIパートナー」というコミュニティを立ち上げました。今回のウェビナーは、パートナー企業の現場のリアルな声から働きがいの本質を紐解いていく、新たな試みとしてスタートしました。
2. パートから正社員へ──未知の業界への挑戦
対話のセッションに入ると、株式会社ハンナで労務を担当する吉岡 景子さん(以下、吉岡さん)から、ご自身のキャリアの歩みが語られました。
普段は経営者の方々から会社の制度や理念についてお話を伺うことが多い熊倉さんですが、今回はアプローチを変え、「会社という組織の中で、日々現場で奮闘している一人の従業員さんの目には、会社はどんな風に映っているのだろう?」という問いを中心に、吉岡さん自身の歩みを伺っていきます。
吉岡さんは、長年スーパーやクリーニング店でパートとして働いていましたが、足を悪くしたことや、子どもたちが社会人として独立したことを機に、正社員の事務職への挑戦を決意されました。数ある企業の中で運送業界である株式会社ハンナを選んだのは、「父が生前、長距離ドライバーをしていたため親近感があったから」だそうです。
事務職の経験も浅く、未知の業界への飛び込みでしたが、吉岡さんの言葉からは不安よりも前向きなエネルギーが溢れていました。そして、そのエネルギーをさらに引き出すきっかけとなったのが、入社後に自ら志願して飛び込んだ社内勉強会「ハンナアカデミー」の存在でした。

3. 枠を超えて学ぶ場「ハンナアカデミー」
吉岡さんの口から熱く語られた「ハンナアカデミー」は、単なる業務研修ではありません。自社のことだけでなく、運輸業界全般の動向、さらには全く関係のない他業種のことや、参加者自身の未来を見つめ直すための場として機能しています。
「運輸業界が初めてだったので、自社がどんなものを運び、どんな仕事をしているのか、業界全体を知るきっかけになればと思って志願しました」と吉岡さんは語ります。土曜日の夕方に開催され、毎回12名ほどが参加するこのアカデミーは、ドライバーや事務職といった職種を問わず、挙手制で誰でも参加できます。期間の縛りもなく、吉岡さん自身も2年連続で参加を続けているそうです。
熊倉さんが「自分の可能性を信じたい人が、手を挙げればできる環境があるのは素晴らしいですね」と感嘆すると、吉岡さんも深く頷きました。「自分自身で思い込んでいた限界を外し、『私にもこういう可能性があるんだ』と気づける場になっています。他部署の社員との交流も図れ、すごくいい経験ができています」と、アカデミーがもたらす内面的な変化と繋がりについて笑顔で語ってくださいました。
4. 地域を巻き込む大和フェスと、連鎖する挑戦
ハンナアカデミーで培われた「自ら枠を超える」精神は、単なる知識の吸収にとどまらず、大きな行動を生み出しています。その象徴が、同社が独自に企画・開催した地域密着イベント「大和フェスティバル」です。

アカデミーのメンバーが先陣を切って企画から運営までを担い、結果として地域の方々約3,500人を動員する大成功を収めました。「地域の方々にハンナという企業を知っていただき、社員の家族にも『いい会社で働いているね』と思ってもらえるようなプラスのイメージを作りたかった」と吉岡さんはその意義を力説します。
吉岡さん自身も、実行委員のサポートとして当日のアテンドなどを担当されました。「何でも失敗を恐れず、とりあえず楽しんでやってみよう」という社風が、このような大規模な挑戦を可能にしています。「失敗しても、そこから学べるものはたくさんある。次も『こうやってみたらいいんじゃない』とチャンスをもらえるからこそ、後輩にもそう勧めています」と語る彼女の言葉から、心理的安全性が担保された職場の様子が窺えました。
5. 楽しむこと一択──自ら創り出す働きがい
セッションの終盤、渡辺さんから「吉岡さんにとっての働きがいとは何ですか」という問いが投げかけられました。
吉岡さんは「楽しいことばかりではないけれど、何をするにしても、自分自身がちょっと『楽しんでやってみよう』と思う気持ちが次に繋がっていく。それが私の働きがいです。楽しんでする、それ一択です」と答えました。
苦しい状況に直面しても、まずは楽しい部分を探しながら取り組む。その前向きでしなやかな姿勢に、熊倉さんも「最高ですね」と心からの共感の声を上げました。働きがいとは、決して会社から与えられるものではありません。日々の業務や環境の中に、自らの意味づけと行動によって創り出していくものです。吉岡さんの「楽しむこと一択」という力強い言葉は、参加者の心に深い余韻を残しました。
編集後記

イベントを通じて、画面越しに伝わってくる吉岡さんの明るく等身大の言葉が、今も胸に響いています。
「失敗を恐れず、楽しんでやってみる」──言葉にすればシンプルですが、それを職場の文化として根付かせ、一人の社員がこれほどまでに堂々と、自分の言葉で語ることができる株式会社ハンナの組織のあり方に心を打たれました。チャットやアンケートにも、現場で働く一人のリアルな声が聞けたことに対する共感と驚きの声が溢れていました。
働きがいは、立派な制度やスローガンだけで生まれるものではありません。社員一人ひとりが「自分にもできるかもしれない」と可能性を信じ、一歩を踏み出せる「場」があるかどうか。そして、その一歩を見守り、次なる挑戦へと繋げる関係性があるかどうかです。人が自らの意思で楽しさを見出し、挑戦を続けるとき、そこには紛れもない「IKIGAI」が宿る。一人の情熱が周囲へと伝播し、組織全体の力へと変わっていく連鎖を生み出す土壌を育むことこそが、これからの組織づくりの本質なのだと、実感しました。
ゲスト/所属企業
吉岡景子さん(株式会社ハンナ 労務)
事業内容:一般貨物自動車運送事業・貨物利用運送・通過型倉庫・車輌整備
所在地:〒630-8442 奈良県奈良市北永井町372番地
資本金:10百万円
社員数:社員数 150名(2024年4月現在)
本音が語れる法人のサードプレイス「IKIGAIパートナー」
運営:一般社団法人日本IKIGAIデザイン協会
概要:年4回の交流会、くまらぼと連携したIKIGAI研究会、IKIGAIパートナーを主役としたウェビナー開催、従業員向けオンライン部活(ヨガ/マインドフルネス)などを通じて、一人ひとりの生きがいを「働くと経営」に活かしていく実践コミュニティーです。また、これらは、メディアサイト:IKIGAI広場から、随時、日本人の95%がIKIGAIを活かして働く社会の実現に向けた活動として情報発信されます。
参加方法:下記公式サイトより随時募集中
IKIGAIから始まる新しい企業文化を、ともに。-IKIGAIパートナー
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